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ベクトル軌跡

(a)ベクトル軌跡とは

周波数$\omega $を0から$\infty $まで変化したとき、周波数伝達関数の絶対値 および偏角によって定まる点を複素面上に描いたものをベクトル軌跡という。

制御系の一巡伝達関数のベクトル軌跡をナイキスト(Nyquist)線図ともよぶ。

ベクトル軌跡は(1.89)式の実数部、虚数部を用いて 描くほうが容易である。
[例] $G(s)=\frac{\displaystyle k}{\displaystyle Ts^2+s+k}$のベクトル軌跡を 描くとき$s=j\omega $として

\begin{displaymath}
G(j\omega )=\frac{k}{(-T\omega ^2+k)+j\omega }
=\frac{k(k-T...
...2)^2+\omega ^2}
-j\frac{k\omega }{(k-T\omega ^2)^2+\omega ^2}
\end{displaymath} (1.92)

この式の$\omega $$0\sim\infty $に変化させて描く。図1.22 $\frac{\displaystyle 1}{\displaystyle\sqrt{kt}}=1.2$ の場合を描いたものである。

図 1.22: ベクトル軌跡の例
\begin{figure}\begin{center}
\psbox[scale=0.50]{eps/1-5-2.eps} \end{center} \end{figure}

(b)逆ベクトル軌跡

周波数伝達関数の逆数、$1/G(j\omega )$のベクトル軌跡のこと。一般には ベクトル軌跡より、逆ベクトル軌跡のほうが描きやすい。

(c)MN線図

一巡伝達関数のベクトル軌跡から直結フィードバックの閉回路伝達関数の ベクトル軌跡を求めるのに用いられる。

図 1.23: MN線図の例
\begin{figure}\begin{center}
\psbox[scale=0.50]{eps/1-5-3.eps} \end{center} \end{figure}

1.23に一巡伝達関数のベクトル軌跡を描き、M軌跡から読み取った値が 閉回路伝達関数の絶対値、N軌跡から読み取った値が同じく偏角である。



Yasunari SHIDAMA
平成15年4月9日