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安定度及びボード線図による安定判別法

(a)安定度

Nyquistの安定判別より、ベクトル軌跡が$-1+j0$の点を通るときが、安定、 不安定の境界となる。したがって、この点より離れている度合を安定度といい、 次のように定義されている。
ゲイン余裕
「一巡伝達関数の位相が$-180^{\circ }$になる時(位相交点)の周波数において ゲインが$1(0dB)$より少ない量$(dB)$
位相余裕
「一巡伝達関数のゲインが1になる時(ゲイン交点)の周波数において位相が $-180^{\circ }$より少ない角」
図で示すと図1.35のごとくなる。なお通常ゲイン余裕、位相余裕の 適良値は

図 1.35: ゲイン余裕と位相余裕
\begin{figure}\begin{center}
\psbox[scale=0.50]{eps/1-6-3.eps} \end{center} \end{figure}

サーボ機構の場合  ゲイン余裕$12\sim 20dB$、位相余裕 $40\sim 60^{\circ}$
プロセス制御の場合  ゲイン余裕$3dB$以上、位相余裕$20^{\circ}$以上 とされている。

(b)ボード線図による安定判別法

ボード線図において、位相が $-180^\circ $ を通過するときのゲインの値が $0dB$ より低く、また$0dB$を通過するときの位相の値が $-180^\circ $ より小さければ安定である。

1.36$(a)$は安定な場合、$(b)$は不安定な場合を示す。
ゲイン図のみでも安定の判別ができ

図 1.36: ボード線図による安定判別法
\begin{figure}\begin{center}
\psbox[scale=0.50]{eps/1-6-4.eps} \end{center} \end{figure}

(i)ゲイン交点におけるゲイン特性の傾斜が$-20dB/dec$で、その前後ある程度この傾斜 が続く場合安定である。
(ii)ゲイン交点において$-60dB/dec$の傾斜の場合は不安定である。



Yasunari SHIDAMA
平成15年4月9日