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概要

安定判別にはリアプノフの第2法則が用いられる。リアプノフの第2法則とは 「微分方程式の安定問題を、解に対する明白な知識をもたずに与えられた形の式を 用いて判別する。」方法である。

この方法は線形、非線形の別なくすべての系に適用できる普遍性をもっている。 安定性を論ずる場合は、入力のない自由系について取り扱っても差し支えない。 したがって線形固定系の場合には、

\begin{displaymath}
\dot{\mbox{\boldmath$x$}} = \mbox{\boldmath$A$} \mbox{\boldmath$x$}
\end{displaymath} (2.143)

また非線形、時変形の場合は
\begin{displaymath}
\dot{\mbox{\boldmath$x$}} = \mbox{\boldmath$F$}(\mbox{\boldmath$x$},t)
\end{displaymath} (2.144)

という形で扱う。その場合、総ての $t$ に対し $\dot{\mbox{\boldmath$x$}} = 0$ となる点 $\mbox{\boldmath$x$} = \mbox{\boldmath$x$}_e$ を平衡点という。線形固定系の場合、 $\mbox{\boldmath$A$}$ が正則のときは 平衡点 $\mbox{\boldmath$x$}_e$$0$ の所のみであるが、 $\mbox{\boldmath$A$}$ が特異の場合 には平衡点は多数存在することになる。非線形の場合にも平衡点が多数存在することが ある。しかし、ここではその中の一つの平衡点に関して安定性を論じることにする。



Yasunari SHIDAMA
平成15年5月12日