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前項の方法を、より一般的にした場合であって、最終条件を指定せず評価の対象として
評価関数の中に含めるような形(Bolza形)にした場合である。
すなわち、を最終条件の関数とし、評価関数を
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(2.230) |
とする。初期値
は指定されているので、上式第2項を
積分の中にいれ、それに全微分を適用すると、
になる。この場合は、前項の(2.176)式の代りに、補助関数は
となる。
図 2.18:
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図2.18に示す如く、
という軌道を通った場合と、
という軌道を通った場合の補助関数の差を
としたとき、これが0となる場合が極値となる。
すなわち
となる。上式にTaylor展開を適用すると
のようになり、極値となる条件は
である。
上式の被積分関数の第2項に(2.182)式の部分積分を適用すると、
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(2.233) |
となる。
2ー18図より
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(2.234) |
の関係があり、かつ
ゆえ(2.236)式は
になる。
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(2.236) |
ゆえ(2.238)式は
となる。
ゆえ、
とし、かつ上式が任意の
のとき
成立するには
でなければならない。前者はオイラー方程式であり、後者は横断性
(Transervality Condition)の条件という。
に関するオイラー方程式も前項と同様に成立するので
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(2.239) |
の各式が成立する。
以上より、最適制御を求める手順としては、
(第1段階)
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(2.240) |
を作る。
(第2段階)
を最小にする
を求め、
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(2.241) |
とする。
(第3段階)
最適 関数
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(2.242) |
を求める。
(第4段階)
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(2.243) |
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(2.244) |
を初期条件及び最終条件、又は次の横断性の条件によって解く。
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(2.245) |
この場合、最終条件
が指定されている場合は
であり、また指定されていないときは
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(2.246) |
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(2.247) |
である。
(第5段階)
以上の結果を
の式に代入して最適制御を得る。
[例1]
システム方程式
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(2.248) |
評価関数
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(2.249) |
の時 、最終時間 でその時の状態は自由とする。
(第1段階)
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(2.250) |
(第2段階)
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(2.251) |
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(2.252) |
(第3段階)
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(2.253) |
(第4段階)
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(2.254) |
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(2.255) |
両式より
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(2.256) |
解は
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(2.257) |
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(2.258) |
で とすると
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(2.259) |
ゆえ(2.249)式より
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(2.260) |
最終時間が与えられているので
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(2.261) |
ゆえ
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(2.262) |
(2.261)式に代入すると
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(2.263) |
(2.263)式に代入して
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(2.264) |
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(2.265) |
(第5段階)
このとき
である。
[例2]
状態変数を
とし、評価関数が次のMeyer形とする。
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(2.269) |
この場合、最終時間 が規定されているとすると であり、かつ
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(2.270) |
ゆえ、横断性の条件は
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(2.271) |
すなわち
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(2.272) |
となる。
が任意のとき、
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(2.273) |
であり、もし が指定されていると
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(2.274) |
さらに が指定されていると
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(2.275) |
が境界条件となる。
[例3]
システム方程式
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(2.276) |
評価関数
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(2.277) |
の時 、最終時間 でその時の状態は自由とする。
(第1段階)
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(2.278) |
(第2段階)
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(2.279) |
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(2.280) |
(第3段階)
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(2.281) |
(第4段階)
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(2.282) |
両式より
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(2.283) |
解は
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(2.284) |
で より
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(2.285) |
と指定されているから、 となり
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(2.286) |
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(2.287) |
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(2.288) |
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(2.289) |
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(2.290) |
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(2.291) |
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(2.292) |
(第5段階)
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(2.293) |
が得られる。
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Yasunari SHIDAMA
平成15年5月12日