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このプラントを図2.29中のとする。この状態変数のうち直接観測可能
な出力
と入力
を他のシステムに加え、その出力を
とする。
図 2.29:
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いま、このシステムの状態方程式を次式とする。
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(2.540) |
但し
の次数が
の次数がであれば、
の次数はである。
また
はある変換行列を意味する。この
を(2.550)式に掛け、(2.552)式より引くと
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(2.541) |
となる。もし
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(2.542) |
という関係があると、(2.553)式は
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(2.543) |
になる。この式の解は
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(2.544) |
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である。この式は
であればにおいて
であり、またもし
でも
が減衰すれば
は漸近的に
に一致することを意味しており、
この
を用いて
を推定することができる。
観測器の設計法としては、先ず安定でかつ早く収束するように、
を定める。
つぎに
(叉は
)の一部を与えて
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(2.545) |
より
を求める。
はの行列であり、逆行列が可能であれば
ゆえ
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(2.546) |
より推定値
が求められる。(2.552)式と(2.558)式によって
観測器が構成される。
例
図 2.30:
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図2.30に示すプラントに置いておよびが測定可能で、および
を測定する観測器を設計する。
同図のプラントの状態方程式は
である。、ゆえ
の次数はであるから(2.552)式
が安定で、かつ早く収束するように
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(2.549) |
とおくと、
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(2.550) |
になる。
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(2.551) |
とすると(2.557)式は
になる。この式は
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(2.553) |
となり、
および
の関係が得られ、これより次のようになる。
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(2.554) |
の値は任意にとれるが、なるべく簡単になるように
、
および、
とすると
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(2.555) |
になる。この
および
を用いると(2.558)式より
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(2.556) |
が得られる。この式より
はそのまま
が用いられ、およびは
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(2.557) |
より得られる。
であるから上記
は(2.562)式より
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(2.560) |
の関係から得られる。(2.569)式、(2.572)式より観測器のブロック図は図2.31のごとくなる。
図 2.31:
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Yasunari SHIDAMA
平成15年5月12日