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前項の方法において、
とした場合である。このとき(2.554)式より
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(2.561) |
になるので、(2.552)式は
となる。上式より(2.560)式を引くと
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(2.563) |
になる。したがって、もし
ならの間
であり、
でも、もし
が減衰を
するなら、
は
に漸近的に一致する。そしてこのとき
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(2.564) |
となる。但しこの場合は
の次元は
の次元と等しくなる。
例1
プラントの状態方程式が
でが観測されを推定する場合を考える。
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(2.567) |
とおく。
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(2.568) |
の根が安定で、かつ早く減衰をするように指定する。
すなわち
に対し、
と指定すると
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(2.570) |
になるので、が得られる。すなわち
となるので、観測器は(2.574)式より
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(2.571) |
になり、
となる。
この観測器をブロック図で示すと図2.32のごとくなる。
図 2.32:
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図 2.33:
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同形観測器の場合は、前項で述べたパーフェクト・モデル・フォローイングの
手法を用いて設計することもできる。すなわち図2.33のごとくモデルの部分をプラントとし、
プラントの部分を観測器とすれば観測器の出力はプラントの出力に完全に追随するので、
状態推定が出来る。このとき、(2.472)式と(2.473)式の関係は
となる。ここに
は観測器のシステムおよび駆動マトリックスである。
が与えられており、
は測定不可能な状態変数に対応する要素を
とする。
は測定可能な状態変数の次数と、入力
の次数とを加えた
次数を持ち、かつ(2.585)式から
が求められるように設定する。そして
は観測器の根が安定になるように指定をし、
(2.584)式より
の未定の部分を決定する。その時観測器の状態方程式は
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(2.574) |
となる。
例2
前例の場合に適用する。
であるので
とおく。そのとき(2.585)式より
になる。また(2.584)式より
となる。
の根
と
なるようにを設定する。
より、
となる。以上より観測器の方程式(2.586)式は
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(2.575) |
になる。これは(2.583)式と同じ結果であることを示している。
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Yasunari SHIDAMA
平成15年5月12日