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(2.677)式より感度減少の条件は
であり、この左辺を大きくとればそれだけ効果が
大きくなる。
一方(2.703)式より乗法的摂動の場合の安定性の条件は
であるから、この
右辺が大きいほど安定性が大である。しかしながら
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(2.698) |
という恒等式が成立する。なぜなら、いま
とおくと上式は
となるからである。このことは
を大きくすると
が小さくなり、安定性と感度減少
とが相反することを意味する。
そこである周波数域では一方を優先し、他の周波数域では他方を優先させるという
トレード・オフが必要になる。感度減少は全周波数にわたり(2.677)式が
成立し、かつこの不等性が大きい程良いが、このトレード・オフを考慮すると有効な
周波数範囲
においてその不等性が大きいように、条件式を
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(2.699) |
とする。このは周波数に依存する正の関数である。
一方安定性に関して(2.703)式において
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(2.700) |
とする。このは正のスカラー関数であるが、低周波域では1より小さく、ある
周波数で1、そして高周波域では1より大きい値をとるものとする。なぜなら一般に
パラメータ変動は周波数と共に増大しノミナル伝達関数のゲイン以上になったり、
位相がを越えたりすることがあるからである。(2.702)式に
(2.717)式を代入すると
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(2.701) |
から
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(2.702) |
を得る。この条件は
の高い周波数域で、特に必要となる。
図 2.41:
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それで図2.41に示すように
の範囲では
が
(2.716)式の条件を満足し、
ではに
基ずく(2.719)式の条件をが満足するように設計すること
が提案されている。
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Yasunari SHIDAMA
平成15年5月12日