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サンプリング信号による周波数応答は(3.10)式より
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(3.77) |
で示すごとく基本波の外に無数の側帯波を含んでいる。
そこで、このうち応答に影響のある重要な成分のみで
近似をするのがこの方法である。
したがって次のような手順で設計を行う。
- #1.
- まず基本成分のみについて
の
ベクトル軌跡を描く。
- #2.
- つぎに
のうち側帯波の重要な成分のみを考慮してベクトル軌跡を描く。
(それ以上の側帯波を加えても余り影響がない所までを考慮すればよい)
- #3.
- 連続系の場合と同じ方法で補償要素を求め、
の重要な側帯波成分のみを考慮してベクトル軌跡を描く。
- #4.
- 必要があれば、上記#3を繰り返し、
最後に変換で解析し検討する。
[例]
の場合について設計をする。
ただし、サンプリング周期とする。
この場合
で表される。この式で基本波成分のみを
考慮してベクトル軌跡を描いたのが
図3.28の印である。次に
の側帯波も考慮して描いたのが同図
印であり、両者はほとんど一致しているから、
この場合は基本波成分のみで考えてよいことになる。
ピーク値を下げるために補償要素として
を加えると
となる。このうち基本波成分のみを考慮して
ベクトル軌跡を描いたのが、図3.28の
印である。
図 3.28:
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Yasunari SHIDAMA
平成15年6月9日