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いま図4.20に示すような制御系において有限時間で目標値に整定する
問題を考える。
図 4.20:
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プラントのシステム方程式は連続系として
で与えられたとする。これをホールド回路を介した場合の離散値系の方程式としたとき
となったとする。このとき各サンプリング時点における状態変数
および出力
は(4.101)式より
となる。
いま
という任意のステップ入力が入った場合、
が有限のサンプリング周期で
0となり、以後その状態が継続されるようにしたい。そこでまずサンプリング
で
がとなるように
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(4.224) |
とおく。この式はマトリクスで表示すると次式となる。
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(4.225) |
サンプリング後その状態が継続されるためには、
でなければならない。
の間
は一定値であり、
かつそれ以後も一定値として
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(4.226) |
とおくことができる。
(4.219)式よりのとき
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(4.227) |
と書け、
とし、
に(4.223)式を代入すると
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(4.228) |
となる。これをマトリクス形とすると
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(4.229) |
と書ける。(4.226)式と(4.230)式をまとめて書くと
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(4.230) |
となる。この式の左辺の逆行列が得られるならば、
の入力が求められる。これを
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(4.231) |
とする。この
を図4.20に示すような閉回路において、制御
要素
によって得ることを考える。
いま
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(4.232) |
とすると、(4.224)式を適用して
となる。これを変換すると
となる。何故なら
は迄で、以降は0となるからである。
一方
の変換は(4.232)式より
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(4.235) |
となるが、これもに対し一定値
とな
る。そこで上式は
となる。図4.20より
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(4.237) |
であるから、(4.235)式と(4.237)式より
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(4.238) |
となり、
は
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(4.239) |
から求めることができる。この制御が最小サンプリングで行える場合をminimal
phototype という。
[例]プラントのシステム方程式が
の場合の有限時間整定法を考える。
秒の場合、離散値系の状態方程式は
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(4.242) |
となる。
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(4.243) |
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(4.244) |
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(4.245) |
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(4.246) |
となるので、これを(4.231)式に適用すると
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(4.247) |
となり、入力は次のように得られる。
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(4.248) |
このことより
が得られ、これを(4.240)式に代入すると制御要素のパルス伝達関数が
として得られる。
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Yasunari SHIDAMA
平成15年6月30日