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最適制御理論
離散値系の最適制御のおける評価関数は、二乗形の場合、次式のような形にとる。
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(4.287) |
ここで、
はの準正定対称マトリクス、
はの
正定対称マトリクスとする。これらはウェイトを示している。
いまシステム方程式を次式とする。
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(4.288) |
このときLagrangeの未定定数を
とすると、補助関数は
で表される。この補助関数を
で偏微分し
て、0としたとき(4.289)式の拘束条件のもとで、(4.288)式
を最小にする条件が得られる。すなわち
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(4.290) |
である。
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(4.291) |
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(4.292) |
ゆえ
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(4.293) |
となる。同様にして
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(4.294) |
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(4.295) |
が得られる。(4.294)式より
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(4.296) |
(4.295)式より
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(4.297) |
(4.296)式に(4.298)式を代入すると
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(4.298) |
となる。いま
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(4.299) |
とおく。この
はの正定対称な行列とする。
(4.297)式に適用すると
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(4.300) |
となる。また(4.299)式は
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(4.301) |
となり
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(4.302) |
が得られる。これを(4.301)式に代入すると、
となる。上式より次式が得られる。
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(4.304) |
この式はリカッチ方程式に相当し、
から
が定まる逆時間
の式である。
いま補助関数を
で偏微分すると
の項以外は0となり
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(4.305) |
となる。これを(4.300)式に代入すると
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(4.306) |
となり、もし
なら
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(4.307) |
となる。この条件を(4.305)式に適用すれば逆時間的に、各
が求められる。
が求められると、(4.297)、(4.298)、
(4.300)式より
の関係が得られるので、最適制御法則
が得られる。次例で示すようにこの
はを大きくとるとの小さい間は一定値をとるので定数として
扱うことができる。
[例]システム方程式が次式のとき
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(4.309) |
評価関数
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(4.310) |
を最小にする最適制御法則を求める。また初期条件を
としたときの応答を求める。
上例では
である。
いまとした場合、
ゆえ、(4.305)式に代入すると
となる。そこで(4.309)式から
となる。次にの所では
となるから
ゆえに
となる。この計算をまで続けると、各時点のフィードバックゲインが
定まる。この結果が表4.1である。
表 4.1:
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0 |
-0.395 |
-0.687 |
-39.5 |
100 |
0 |
1 |
-0.395 |
-0.687 |
-2.43 |
40.5 |
-19.75 |
2 |
-0.395 |
-0.677 |
3.48 |
10.22 |
-11.09 |
3 |
-0.355 |
-0.555 |
1.42 |
0.54 |
-3.8 |
4 |
0 |
0 |
0 |
-1.45 |
-9.42 |
この結果よりの小さい所では は一定値であることがわか
る。これが最適制御法則である。次に が求まれば
(4.309)式より
が求まり、これを(4.289)式に代入して
が求まる。これを繰り返して
という具合に
の応答が順次求められる。この結果も表
4.1に示してある。
図4.22はとにとった場合のとを描いた
ものである。を大きくすればのより大きな範囲でが一定値となり、
が定数として扱えることがわかる。の方は、の場合でも
の場合でも同じ応答をすることを示している。
図 4.22:
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Yasunari SHIDAMA
平成15年6月30日