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単入力多次系の場合、状態方程式は
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(5.97) |
で表され、この解は
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(5.98) |
である。
オン・オフ要素の場合
であるから
と書ける。
は初期値であるから、オン・オフの切換時に前区間の最
終値を次の区間の初期値として計算すればよい。
いま図5.25のような閉ループ系に発生したリミットサイクルの半周期
をとしたとき、オンの区間のみを考えると
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(5.100) |
と書ける。リミットサイクルになるのは
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(5.101) |
の場合と考えられる。したがってこれを(5.102)式に適用すると
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(5.102) |
となり、これがリミットサイクルの振幅
と半周期()との関係を
表している。
一方、オン・オフ要素への入力は
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(5.103) |
で表され、ヒステリシスのないオン・オフ要素の場合、となるので
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(5.104) |
またヒステリシスがある場合は
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(5.105) |
さらに、むだ時間がある場合には
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(5.106) |
となる。これらの式から半周期が求められる。このを
(5.104)式に適用すれば、振幅が求められる。
[例]オン・オフ・サーボ系
図5.26のようなオン・オフ・サーボ系にステップ入力が加わっ
た場合を考える。
状態方程式は
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(5.107) |
となるから
であり、
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(5.108) |
となる。したがって
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(5.109) |
となる。
この応答波形は大体図5.27のようになる。 時間までの間は、
とした場合
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(5.110) |
となり、時点でとなる。ゆえに
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(5.111) |
と書ける。上の式からが求まれば、下の式よりが求まる。ここで
オン・オフ切り換えが行われ、次の時間の間は
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(5.112) |
の応答をし、時点でとなるので
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(5.113) |
と書ける。上の式からが求まれば、下の式よりが求まる。このように
して次々と計算を進めて行けば、過渡応答の厳密な解が得られる。
この経過の最後の定常状態でリミットサイクルに入る。(5.104)式に
(5.110)式を適用すると
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(5.114) |
となる。
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(5.115) |
であるから
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(5.116) |
となる。また図5.26より
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(5.117) |
であるから、(5.106)式より
したがってとなり、これは周期0、すなわち無限大の周波数のリミットサ
イクルとなることを意味している。
もしむだ時間があるとすると、(5.108)式より
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(5.119) |
となるので、を与えればが求まる。そのを(5.118)式に適用すると
リミットサイクルの振幅も求まることになる。
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Yasunari SHIDAMA
平成15年7月28日