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この方法は、リアプノフ関数を系統的に決定する手法である。いまシステム方程式を
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(5.290) |
とし、平衡点は原点にあるものとする。またリアプノフ関数をとしたとき、
これはの状態変数を陽に含んでおり、また時間を陽に含んで
いないものとする。そうするとの全微分を求めると
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(5.291) |
となる。上式を
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(5.292) |
と書く。ここに
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(5.293) |
である。このようにしたとき、はの線形積分として得られる。
すなわち
の線形積分から一義的に決定されるスカラー関数に対し、
によって得られる次の行列
は対称となる。
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(5.295) |
したがって、たとえばの場合
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(5.296) |
である。
いま
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(5.297) |
とおく。は未定の量であるが、定数か時間関数または状態変数の関数で
ある。しかしこのうちのみは定数か、時間関数に選ぶ。
そこで、次のような手順で安定の判別を行う。
- step 1.
- を(5.299)式のようにとる。
- step 2.
- から(5.294)式によってを決定する。
- step 3.
- は負定または準負定になるようにを仮定する。
- step 4.
- (5.297)式の
が対称であることを用いて
の残りの未知係数を決定する。
- step 5.
- step 4の計算でstep 3の過程の変更を必要とするか否かを再検討する。
- step 6.
- (5.296)式よりを決定する。
- step 7.
- 漸近安定の範囲を調べる。
[例]
システム方程式が
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(5.298) |
の場合、安定を判別する。
- step 1.
-
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(5.299) |
- step 2.
-
- step 3.
- いま
とおくと
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(5.301) |
となり、はが正なら負定である。
- step 4.
- ゆえに
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(5.302) |
となるから、(5.298)式より
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(5.303) |
となり、
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(5.304) |
となる。
- step 5.
- (5.303)式は
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(5.305) |
となり、明らかに負である。
- step 6.
-
すなわちリアプノフ関数は正である。
- step 7.
- この場合、条件なしの大局的漸近安定である。
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Yasunari SHIDAMA
平成15年7月28日