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図5.52に示すようなシステムにおいて、線形要素の極がすべて
左半面にありかつ0の極を含まず、また非線形要素は連続的で、非線形要素へ
の入力の関数となっており、しかものとき、その出力である場合
にこの方法は適用される。なおとする。
システム方程式を正準形で表示すると
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(5.307) |
となる。ここにはの極であり、はを
部分分数に分解したときの各係数の負の値である。
上式より
(5.309)式をベクトルで書くと
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(5.309) |
となり、(5.310)式をベクトルで書くと
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(5.310) |
となる。そこで、もし次の条件が成立するなら、システムは大局的漸近安定である。
- (1).
-
- (2).
-
- (3).
- 次のマトリクスを満足する
の一組が存在する。
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(5.311) |
ここにはが実数のとき実数であり、および
が共役複素数のとき、は共役複素数である。
したがって上式は次のように書くこともできる。
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(5.312) |
これをベクトルで表すと
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(5.313) |
ただし
上式の共役転置をとると
いまリアプノフ関数を次のように選ぶ。
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(5.315) |
この式は正定である。なぜなら条件として
であり
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(5.316) |
であるから。そこでを求めると
となる。ここで
となるので、
(5.316)式より最後の項は0となるから
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(5.320) |
となり、負となる。したがって前述の条件を満足すれば安定となる。
[例]
システム方程式が
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(5.321) |
で表される場合の安定判別を行う。
この場合
である。
- (1).
-
ゆえ第1の条件を満足している。
- (2).
-
であり、のとき
、のときゆえ第2の条件も満足している。
- (3).
- (5.313)式は
となり
より
となる。
が実数であり、
が実数で求まったから、このシステムは安定である。
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Yasunari SHIDAMA
平成15年7月28日