さて,ここで集合の体という具体的な概念から抽象して,代数構造(
)を考えましょう.
ここで,それぞれ は集合の体 に, は に,
は に, は ( に関して)に, 0 は空集合 0に, 1 は に対応させたいわけです。
まず, についての公理を書き出し,集合の体の具体的な概念を完全に公理化します。
その後,我々の公理化が実際,
具体的な概念間の全ての真な等式を捉えていることを示します。
全てのブール代数において,
はブール代数上の演算,定数であることに注意してください.もちろん, 0と1は,整数の0と1とは全く異なる意味で用いられます。
特に, を と書くことにします。
は の,宇宙(universe),あるいは
基礎集合(下敷きとなる集合)(underlying set) と呼びます。
定義3の(i) はブール代数を定義するための公理です。
今後,ブール代数の公理といったら,この(i) を意味します。
というように引用します。
を総称して,Boole演算(ブール演算)(Boolean operataion)といいます。
補元は一意的です
((演習4)(4)).つまり,任意の について,
(余談ですが,字体について.上の は, のスクリプト体, は, のドイツ語の花文字のつもりです。
フォントがないのでこう書きました.また,数式の文字は,実際は全てイタリックです。
の丸括弧も,本当は不等式の括弧で表したいのですが,そうするとこの掲示板では引用になってしまいますので,
やむなく丸括弧にしました(^^;)
[重要]
このセミナーにおいて,特に断らない限り,任意のブール代数 は上の で,また任意の要素は, の要素
等として取り扱います。
おきまりのチェックによって,次がいえます。
系4
もし, が集合の体ならば,
はブール代数であり,
の部分集合のブール集合代数(Boolean set algebra of subsets of
)と呼ばれる.
[証明] (演習4)(1) [証明終わり]
定義3の公理の形から明らかなように,次の命題に注意してください.
[命題5]
もし,
が ならば,
もそうである.
[証明] (演習4)(2) [証明終わり]
命題5から,双対の原理(duality principle)がでてきます。
つまり,初めの
について で成立する文(式)は,そこに現れる全ての
をそれぞれ, で置き換えたものは,2番目の
でも成立します。
我々は今後,この双対の原理を自由に用いることにします(演習のときにも自由に使ってください.).
ブール代数で成立する基本的な式(定理)は 第4回で提示,証明,演習します。
さて,演習でその準備として基本的なことをチェックしましょう.
(注)上の は全てブール代数の公理を用いて証明します。 )