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サンプル値制御系

いまままで扱ってきた制御系は時間的に連続な信号によって動作するものであった。 これに対し、”一定時間間隔の間欠的な信号、すなわちサンプル値信号によって 動作する部分を含む制御系”をサンプル値制御系という。

サンプル値制御系は次のような場合に用いられる。

(a).
連続検出が困難な場合
例えば、誘導加熱炉内の被加熱体の温度を熱電対で測定する場合、加熱を一時停 止しないと正確な測定ができない。このような場合、測定は一定時間間隔となる。
(b).
検出に走査を必要とする場合
レーダーで運動する物体を追跡するサーボ機構では、レーダーの走査によって物 体の位置を定めるので、得られる信号は走査の周期を持つサンプル値となる。
(c).
不連続検出が望ましい場合
制御対象のむだ時間や時定数が大きいと操作量を変化しても、その結果が現れる までに時間がかかり、急いで制御量を検出しても効果が少ないばかりでなく、雑 音等の影響のほうを強く受ける。したがって操作量を変えてからある程度時間が たって、制御量にその効果が現れ始めたときに検出するほうが、よい制御が期待 できる。そのような場合にはサンプル値を用いる。
(d).
ディジタル計算機を含む場合
ディジタル計算機は本質的に入出力にサンプル値が要求されるし、またその計算 が複雑なもので一計算を完了するのにある程度の時間が必要な場合には、サンプ ル値制御系の形式が用いられる。

このようなサンプル値制御系の構成を図3.1に示す。図中のサンプラとは 一定時間間隔ごとにスイッチを閉じることにより、連続信号からサンプル値信号 をつくるものである。また同図のサンプル値制御装置はディジタル計算機のように サンプル値信号の演算、変換等を行う装置であり、ホールド回路はサンプル値信号を 連続信号に換える回路である。

図 3.1: サンプル値制御系の構成
\begin{figure}\begin{center}
\psbox[scale=0.60]{eps/3-1-1.eps} \end{center} \end{figure}



Yasunari SHIDAMA
平成15年6月9日