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この方法は遅延要素を用いて、有限時間で整定を
させる方法である。
いま、図3.33に示すように個の遅延要素と
増幅器を用いると、そのパルス伝達関数は
となる。次に図3.34の下側の回路に示すように
個の遅延要素と増幅器を用いてフィードバック回路を
構成すると、そのパルス伝達関数は
となり、図3.34全体のパルス伝達関数は
となる。この式は展開すると無限個の級数になり、
したがって任意の特性を得ることができることを示している。
図 3.33:
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図 3.34:
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例えば、図3.35の示す回路では
であるから、変換すると
となって、
の組み合わせで
種々の形のものができる。そこで、
望ましい応答をあらかじめ定めておいて、
逆にこの補償回路を用いて特性改善をすることが
可能となる。
図 3.35:
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設計手順としては
- #1.
- 希望する閉回路パルス伝達関数を決定する。
これはたとえば有限整定時間で応答するには表3.4の形を採用
する。ただし、制御対象の次数が、むだ時間がであった場合、
のは整定迄の最小サンプリング数を表しているが、
この値を
- #2.
- 一巡パルス伝達関数は
より求めるが、3.4表にも記載してある。
- #3.
- 制御装置のパルス伝達関数を次式より決定し、
((6))式より回路を構成する。
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(3.80) |
[例]
でのとき、
入力に対し有限時間で整定をさせる。
であるから、となり、
表3.4より
一方制御対象より
となるから制御装置の伝達関数は
となる。いま図3.36のような回路を構成すれば、
パルス伝達関数は
となるから
に設定すればよい。すなわち図3.37の
ような回路となり、この時の
操作量および制御量の変化は
図3.38のごとくなって、
2サンプリングで整定することがわかる。
図 3.36:
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図 3.37:
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図 3.38:
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Yasunari SHIDAMA
平成15年6月9日