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パルス回路網による補償方法

パルス回路によって位相進み、位相遅れの回路が構成できる。 図3.29は位相遅れ要素とその特性、図3.30は 位相進み要素とその特性を示している。
図 3.29:
\begin{figure}\begin{center}
\psbox[scale=0.60]{eps/3-8-6.eps} \end{center} \end{figure}
図 3.30:
\begin{figure}\begin{center}
\psbox[scale=0.60]{eps/3-8-7.eps} \end{center} \end{figure}

これらの要素を用いるときは連続系の補償方法と同様に 考えてよい。すなわち、次のような手順で設計を行う。

#1.
$[HG](Z)$のパルス伝達関数を求め、ベクトル軌跡 または根軌跡を描く。
#2.
特性が改善されるような位相進み(または位相遅れ)要素を連続系の 場合と同様な方法で定め、その$N(Z)$を用いて$N(Z)[HG](Z)$のベク トル軌跡または根軌跡を描き評価する。
#3.
求まった補償要素は、制御対象およびホールド回路とは、 サンプラをして結合させる。
[例] $[HG](Z)=0.368
\frac{\displaystyle (Z+0.719)}
{\displaystyle (Z-1)(Z-0.368)}$ の場合

この根軌跡を描くと図3.31のごとくなり、ゲインが大のとき不安定と なる。

そこで位相進み要素を用いて安定化をはかる。図3.30の回路において $T=1,a=1,K=1.72$ とすると $ N(Z)=\frac{Z-0.368}{Z+0.719} $ となり $
N(Z)[HG](Z)=\frac{0.368}{Z-1} $ となり根軌跡は図3.32のようになり、 安定範囲が拡がることがわかる。

図 3.31:
\begin{figure}\begin{center}
\psbox[scale=0.60]{eps/3-8-8.eps} \end{center} \end{figure}
図 3.32:
\begin{figure}\begin{center}
\psbox[scale=0.60]{eps/3-8-9.eps} \end{center} \end{figure}



Yasunari SHIDAMA
平成15年6月9日