: ジョルダン標準形
: Dsys
: 離散システムの方程式(狼とウサギ)
前節のお話を繰り返しますと.
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という系について行列とベクトルを使えば,
として
は
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と表すことができました.
から始めて
式から
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となります.
前回は手始めに,
という特別な場合を考えました.
ですから
と簡単に が計算できたわけです.
さて,今度は,
とは限らない一般の場合を考えます.
ここで
にある可逆な行列
とその逆行列 を左右からかけて という積を作り,これが
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となったとします.こんな はどうやって探すかという話しは取り合えず置いて,
とその逆行列 には
ただし, は単位行列
が成り立っていますから
となります.
ここで は
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と簡単に計算できます.
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ですから,両辺に左から ,右から をかけると
となります. から が簡単に計算できます.それで
となる行列Vを何とか探そうということにします.
式の両辺に左からVをかけると
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です. を計算すると
行列 の縦に並んでいる要素をまとめて列ベクトル
と書くと,
で,
式は
と書けます.すると
は,
でさらに左辺を計算すると
両辺の1列目,2列目の列ベクトルは等しいはずですから
という式がでてきます.結局,
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という定数 と列ベクトル の組2組
を求める問題になりました.
式の右辺は単位行列 を使って, と書けますから,
式の右辺を左辺に移項して,
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となります.
実数の1次方程式 の解は の逆数 があれば(これは という条件ですが)
だけです.
同様に,行列 の逆行列 があると,
式の両辺に左から をかけて,
となって
だけが解になってしまいます.これでは目的の は求まりません.
大学1年次の線形代数の講義を思い出して頂くと, が
逆行列を持たない条件は,
それの行列式について
でした.実際,これを計算すると,
から 行列式=(左上×右下)−(右上×左下)によって
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で についての2次の代数方程式がでてきます.
まず
式が異なる,2つの実数根を持つ場合について考えます.
この場合, になるわけです.これに対応するベクトル
と を求めるには,
式から
について
として, を求めることになります.
が成り立っていますから,
は解は一意には決まりません.
たとえば などとすると, が決まります.
- [ 練習問題 2]
とするとき,上の議論によって, と の対角化 を求めてください.
: ジョルダン標準形
: Dsys
: 離散システムの方程式(狼とウサギ)
Yasunari SHIDAMA