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根軌跡法

連続制御系と同様に、サンプリング制御系にも根軌跡法を 適用することができる。すなわち特性方程式は
\begin{displaymath}
1+K[GH](Z)=0
\end{displaymath} (3.68)

で書き表されるから、$K$$0\sim \infty$に変化させた場合の 根の軌跡を複素面上に描く。

根軌跡を描く手順、諸法則は$Z$に関して全く連続制御系の 場合と同じである。すなわち

$\displaystyle [GH](Z)=Re^{j\Theta}$     (3.69)
$\displaystyle \hspace*{1cm} \mbox{ただし、}
R$ $\textstyle =$ $\displaystyle AZ_{1}Z_{2}\cdots Z_{m}/P_{1}P_{2}\cdots P_{n}$  
$\displaystyle \Theta$ $\textstyle =$ $\displaystyle \varphi_{1}+\varphi_{2}+\cdots
\varphi_{m}-\theta_{1}-\theta_{2}-
\cdots -\theta_{n}$  

で表したとき
\begin{displaymath}
\left \{
\begin{array}{l}
KR=1 \\
\Theta = (1+2k)\pi \mbox{ }k=0,\pm 1,\pm 2,\cdots
\end{array} \right .
\end{displaymath} (3.70)

を満足するところに根軌跡が存在する。

$Z$面における根軌跡は実軸に対して対称であり、起点は一巡伝達関数の極、終 点は零点又は無限遠である。軌跡の数は極の数に等しく、無限遠に延びる軌跡の 数は極の数と零点の数の差に等しい。

根軌跡の安定限界は、この場合単位円である。また系が非振動的になるのは、特 性根が実軸上原点と$1+j0$ の間にのみ存在するときである。

また連続系では減衰係数$\zeta$を与えるためには虚軸と $\sin^{-1}\zeta$の角度をなす線と根軌跡との交点のゲインを 用いればよかったが、サンプリング系の場合は

\begin{displaymath}
Z=e^{-\zeta \omega_{n}T}\cdot
e^{j\sqrt{1-\zeta^{2}}\omega_{n}T}
\end{displaymath} (3.71)

の式で、 $\omega_{n}=0\sim \infty$に変えると原点を 中心とする対数渦巻となる。これと根軌跡の交点のゲイン を用いることが必要となる。

3.23は根軌跡の例を示している。

図 3.23:
\begin{figure}\begin{center}
\psbox[scale=0.60]{eps/3-7-1.eps} \end{center} \end{figure}


Yasunari SHIDAMA
平成15年6月9日