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一般的手法
次に連続系の状態方程式から、離散値系の状態方程式への一般的な変換法につい
て述べる。
いま、連続系の状態方程式を
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(4.61) |
とする。この解は、
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(4.62) |
である。前述の例と同様、について考え、初期状態として
を
とし、の最終状態は次のように
なる。
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(4.63) |
いま
ただし
とすれば、
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(4.66) |
となる。任意のサンプリング時点では
のようにおき
かえて
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(4.67) |
とすれば離散値系の状態方程式となる。したがって、
は
(4.65),(4.66)式より求めればよい。
[例1]
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(4.68) |
より離散値系の状態方程式を求める。
上式より
したがって
となり、状態方程式は
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(4.71) |
となる。
[例2]デジタル回路を含む制御系
計算機制御系のようにデジタル回路を含む制御系では、制御対象は前項で述べた
ような連続系としての状態変数をとり、デジタル部分では直接法等による状態変
数を用いる必要がある。
図 4.14:
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いま次のような制御系を例として考える。デジタル回路のパルス伝達関数を次式
とする。
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(4.72) |
図 4.15:
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これを直接法で表示すると
となるから中間変数を
として
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(4.73) |
が得られる。
制御対象は、Phase variableで表示すると
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(4.74) |
となり
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(4.75) |
より
これを(4.23)式に代入して
を求める場合、
()式を用いて遷移行列
を求めとすると
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(4.76) |
また遷移行列を(4.66)式に代入すると
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(4.77) |
となり、離散値系の状態方程式は
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(4.78) |
で表される。これを今簡単のため
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(4.79) |
で表す。
一方図より
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(4.80) |
から、各サンプリング時点では次式となる。
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(4.81) |
(4.80)式のに(4.74)式および
(4.82)式を代入し、を消去すると次式が得られる。
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(4.82) |
これより状態方程式は
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(4.83) |
で表される。
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Yasunari SHIDAMA
平成15年6月30日