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温度制御などには、装置の簡便さなどから、オンオフ制御が多く用いられる。そ
して通常このオン・オフ要素には多少ともヒステリシス特性をもっている。一方、
炉や恒温槽のような制御対象はむだ時間をもつ一次遅れ系として扱われる。この
制御系をブロック図で示すと図5.23のようになる。
制御方程式は
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(5.82) |
で表される。いまステップ入力が加わった場合を考える。 であるから、初期値 であればとなる。(は今まで
のと同じである。) がヒステリシス幅 より充分大きければ
となる。図5.24に示すように、がに到達する
まではこの状態が続く。ここではに切り換わる。しかしむだ時間がある
ため、その時点から秒後まではが加わっていたと同じ状態が継続される。
その点までは(5.84)式のオンの過程の式が用いられる。それから
は下降を始め、まではであり、そこでに切り換わるが、
前と同様秒後まではが加わっていたと同じ状態が続く。この間は
(5.84)式のオフの過程の式が用いられる。
すなわち、まず最初の区間では、 は(5.84)式のオンの過程の式の
解に の条件を適用した
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(5.83) |
の応答をする。でとなる。
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(5.84) |
またで、になったとすると
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(5.85) |
となる。
次の区間は(5.84)式のオフの過程の式に初期値をとして解を求めると
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(5.86) |
となる。でとなるから
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(5.87) |
となり、またでとなるので
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(5.88) |
となる。この式に(5.89)式を適用すると
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(5.89) |
さらに次の区間はオンの過程となり、このときは初期値をとする。その時の解は
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(5.90) |
であり、でとなるので
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(5.91) |
となり、かつでになるので
となる。以後同じことが繰り返される。
(5.94)式からわかるようにもも、に
よって定まる値であるから
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(5.93) |
がリミットサイクルの振幅となる。
一方、リミットサイクルのときはであるから、(5.94)式の
を(5.89)式ののところに代入すると
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(5.94) |
となるから
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(5.95) |
となる。同様にして(5.91)式と(5.93)式より
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(5.96) |
が得られるので、リミットサイクルの同期は となる。
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Yasunari SHIDAMA
平成15年7月28日