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試作した全方向車輪

今日用いられている地上用輸送機械の駆動方法には,大きく分類して車輪式,浮揚式,歩行式の三方式がある.そのうち大部分は車輪式を用いた駆動法を採用している.これは製作や制御が容易で,しかも移動効率が良いためである.しかし,一つの車輪上に一つの車輪を取り付けるという方法であるため一方向の移動しか出来ず,そのままの姿勢では左右に移動することは出来ない.そこで一つの車輪で前後左右動を可能にするためには,従来の車輪にもう一組の車輪を取り付ければよいことが推察出来る.そこで車輪の円周上に多数のローラを取り付けたローラ付き車輪が考えられる.図4.1にその模型図を示す.車軸に垂直な多数の軸を車軸の周囲に設け,その各軸にローラを取り付けた.ローラは車輪の軸方向にはころがり運動をし,車輪の駆動方向には移動しない.従ってこの車輪を用いると通常の車輪駆動に加えて軸方向移動が可能となる.このローラ付き車輪を図4.2のように車軸が直角に交わるように車体の四辺に取り付けた.なお,今回はローラとして市販の戸車を用いた.

Figure: 試作した全方向移動車輪
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\psbox [width=13.33cm]{F45.eps}
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Figure: 全方向移動車輪の配置
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\psbox [width=9.62cm]{F46.eps}
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Figure: 全方向移動装置の上下動
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\psbox [width=8.40cm]{F47.eps}
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4.3のように本装置はローラによる間欠駆動となるために車体が上下動することが考えられるが,本装置における上下動の最大値は式(4.1)で求められる.
\begin{displaymath}
H=r\left\{ {1-\cos \left( {{{{{2\pi } \over N}-{S \over r}} \over 2}} \right)} \right\}
\end{displaymath} (82)

ここで,R:ローラ先端までの半径,N:ローラの数,S:ローラの巾である. 今回の各値は,R=73mm,N=36,S=6mmで,Hは0.08mmとなる.本装置の上下動は無視出来るものとする.

Shoichiro FUJISAWA