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結果と今後の課題

全方向移動機構の応用として,球殻車輪の駆動機構に四輪独立駆動型全方向移動装置を採用することによって,走行特性や走行の挙動は不安定であったものの,球形ロボットがホロノミックな移動を行えることを確認することができた.すでに完全球形な全方向移動ロボットは開発されているが,その移動は非−ホロノミックな拘束を持ち,あらゆる方向の瞬時な移動は不可能である.また,この構造は球殻車体を持ち,二輪駆動車がその中に挿入されている.そこで,我々が開発した四輪独立駆動型全方向移動ロボットを球殻ロボットに応用したが,ホロノミックな拘束の特性を持ち,瞬時にあらゆる方向に移動が可能であることが判った.今回は駆動機構に姿勢制御を行っていないため,不安定な走行となったものの,ホロノミックな走行が可能なことが確認できた.また,全方向移動装置の運動の式を,球形ロボットの運動の式に適用させた.この装置が任意の方向に瞬時に移動が可能であることを確認できた.この全方向移動型完全球形ロボットの製作とその走行実験を行い有用性を確認できた.優れた気密性を持ち,次世代のホビーから工業用までのロボットとして期待できる. 今回は装置のコンセプトを紹介するに留まったが,今後は姿勢制御や速度制御による安定な走行が必要である.内蔵の駆動機構の重心を低く抑えたり,実用的な走行が行えるような駆動ユニットの改良などの試作機の改良が必要である.

Shoichiro FUJISAWA