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はじめに

近年障害者の社会参加が進むなかで,福祉機器・自立支援機器・介護支援機器の開発が盛んである[31,32].また,従来からもパソコンのキーボード手入力に替わる顎や舌,足等で操作を行う支援機器が開発されている.これらは,確実に運動を制御できる部位がある障害者にとっては,非常に有効である.また,高位の頚髄損傷者でも頚部の運動は可能であるため,首や肩を動作して手の動作に替えることが可能である. 手などに障害を持つ人がパソコンを使ってみたいという要求は,非常に高いと思われる.同時に,近年のパソコンを取り巻く環境も大きく変貌し,マウス入力がキーボード入力に取って替ろうとしている.マウスを操作するだけで,パソコンの立ち上げからアプリケーションの実行終了までを,総て行うことも可能となってきている.障害者のための入力支援器具にもこのような機能を持たせることが求められている. そこで我々は,四肢の不自由な人のための,マウス入力に替わる新しい障害者支援器具の開発・試作を行った[33,34,35,36,37,48].この装置の一つは,前後左右移動のセンサ部にリミットスイッチを使用し前後左右とその斜め45度の組合わせの計8方向の移動が行なえるものである.またもう一つは,そのセンサ部に直動型ポテンショメータを使用し,あらゆる方向にポインタ移動が可能な入力装置を試作した.操作はどちらも首の動作を利用し,マウスのクリック動作は肩で行うものである.パソコンのマウス入力端子に直接接続することで,容易に利用することが可能で,それぞれの装置の比較を行うと共に,この装置の実用性や操作性などについて検討を行った.また,これらのインターフェースを用いた全方向移動車椅子の応用を示した.

Shoichiro FUJISAWA