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全方向移動ロボットの走行メカニズム

現在,ロボットの移動機構として,車輪型機構が広く用いられている.2輪独立駆動型,乗用車型(駆動輪と操舵輪)などがその代表的なものであるが,これらは非ホロノミックなシステムであり,その動作は非ホロノミック拘束と呼ばれる拘束条件を機構的に有しており,高度な移動性が妨げられる.非ホロノミックな移動機構を制御するためには,拘束条件を満たすような目標軌道(ロボットが動きうる軌道)を設計する必要がある.つまり,1つの車軸上に1つの車輪を取り付けるという方法であるため1方向の移動しかできず,そのままの姿勢では左右に移動することができない.そのため目標まで移動する場合,並進動作や旋回動作を行う際に車輪の向きをそろえる準備動作が必要になってくる.たとえば,自動車は縦列駐車時には切り返し運転がそれである.このように,その場旋回や横方向の推進ができない通常の自動車の運転性能は,狭い作業環境では満足できるものではない.そのため,平面上で2自由度の並進運動と1自由度の回転運動の計3自由度運動を拘束条件なく,各自由度において独立な設計を行うことができる全方向車両を開発しようとする努力がこれまでなされてきた.ホロノミックな移動機構は非ホロノミックな移動機構に比べて,制御性,移動性に優位があるものの,機構の複雑さ,耐荷重性,段差乗り上げ能力などの機構的問題を含んでおり,その問題を克服するために各種の車輪式全方向装置が開発されている.以下にそれらの車輪式全方向移動装置の駆動機構を紹介する.

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Shoichiro FUJISAWA